５）『2002秋冬　ファッション・トレンド予測』
　結論から言えば、2002年の秋冬は「自ら選択するファッション」。テロの影響
　が直撃した昨年のコレクションは、プログラムを変更するメゾンも多く、この
　春夏は「Love & Peace」のメッセージにすべてが包まれ、白、花柄、フェミニ
　ン一色になった。しかし一方で「ファッションにデザインがなくなっている」
　という意識が数年続いていたのも事実。グラフィティやモノグラム、ロゴ、ブ
　ランドネームを全面に出し、デザインで人を魅了するモードが薄れていた。そ
　んな人にはこの秋冬は面白い。全体にブラックのパワーは相変わらずで、トレ
　ンドカラーは黒のままだが、プラダは「セクシー」をテーマにエレガントでミ
　ニマルな世界を演出。トムフォードはYSLでもGucciでもセクシー健在。フェン
　ディは毛皮で、ドルチェ＆ガッパーナは好評なカスタマイズで勝負。その他の
　メゾンもオリジナリティに回帰し、選ぶ側の感性にセンスが委ねられた格好。
　「じゃ、結局平和主義もモード？」という人のために、完全にアバンギャルド
　を打ち出したヴェルサーチの代表、ドナテッラの言葉を。「こんな時代だから
　こそ、ファッションが必要なのよ。」