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クライアント様入口
◇『ドッペルゲンガー』★★

 “ドッペルゲンガー”を見ると死んでしまう…というのは本当のことですか?
 行った覚えのない場所で私に出会ったと、友人から言われることがよくありま
 した。「まさか、人違いでしょう」と否定しながら私は“ドッペルゲンガー”
 かもしれない、と不安になっていました。というのもその頃、私も時々自分に
 よく似ている後ろ姿を街で見かけたことがあったからです。その時は追いかけ
 て顔を確かめる勇気はありませんでした。でも、昨日ついに不安が現実になっ
 てしまいました。夜遅くに帰宅した私を母が驚いたように見つめるのです。訳
 を聞くと、30分前に“私”が帰宅して疲れたからと言って自分の部屋に行った
 とか。その瞬間、全身の震えが止まりませんでした。母は私の話を信じていな
 いようでしたが、怖いので一緒に部屋に確かめに行ってくれました。ドアの奥
 に何かの気配が感じられて、一瞬ためらいました。母がドアを開けたら真っ暗
 でした。私は少しホッとして部屋に入り急いで電気をつけようと…足に何かが
 ぶつかり悲鳴を上げた私に代わって母が電気をつけて…。まぶしい明かりの中
 で見慣れた部屋を確認した私は、体中の力が抜けて座りこんでしまいました。

 (注・ドッペルゲンガーを見ると死ぬのではなくて、分身である自分が本体と
  入れ替わる、という説もあります。今のあなたは本体ですか?)