1)『門戸を開いた「95年組」』
「95年組」と呼ばれるクリエーター集団がいる。その名の通り95年前後に登場
してきた集団で、前世代とは創作の手法や素材、普及の過程までもが全く異な
る。彼らはその頃急速に普及したパソコンを駆使してグラフィック作品を作り
出し、クラブなどストリート文化やインターネットのホームページを舞台に、
作品を世に送り出した。その後、これら新種のメディアから知名度を上げ、現
在では大手企業の広告やTVCMなどにも起用されている。彼らに共通してい
るのは、デザイン事務所で経験を積んだり、コンペに応募、当選したりといっ
た、前世代が必ず通った過程を経ずに頭角をあらわしている点。デザイン業界
は、95年組を境に技術面の参入障壁が低くなり、参加者の層も拡大した。美術
以外の分野出身のクリエーターも増えている。門戸が広くなるのはいいことだ。 |