◇『スーツカスタマイズ考』TEXT by 大貫麻里 
　　銀座「JUNMEN」で、面白いものを見つけた。ボタンである。鍵のかかるショー
　　ケースのなかで、カフリンクスやリングに混じって一握りほど、無造作に積ま
　　れていた。目を引いたのは、その鮮やかかつ微妙な色遣い。赤や茶というより
　　も、いちご飴、エスプレッソとでも言いたいような、憎らしいほど「カワイイ」
　　色なのだ。万札を用意して行くクラスの店なのに１個150円というのも、衝動買
　　いしてくれといわんばかりである。そう、これは売り物だ。決して隣のカフリ
　　ンクスの引き立て役ではない。普通のドレスシャツが、ボタンを付け替えるだ
　　けであら不思議、こだわりの１枚に！というわけだ。ネクタイやシャツの色柄
　　にこだわるのは、もはや当たり前のこと。とはいえ、悪目立ちするトレンドは、
　　社会人として失格――というか、目の毒。となると、小さくていつも隠れてい
　　るボタンなどは、さりげなくセンスをアピールするには最適。しかも手先の器
　　用さまでアピールできる。その上あわよくば女の子と会話するチャンスまで。
　　そして※％＠×まで！（各自好きな単語を入れるように）
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　　思えば今は、スーツスタイルをカスタマイズするという点では、かなり良い条
　　件がそろっている。たとえば、スーツはサイズ選びが最重要課題であるのは周
　　知の事実。しかし大方のスーツショップでは、身長170センチ前後、ウエスト80
　　センチ前後を中心に作られ、そのサイズに合う人はたった３割という有様だっ
　　た。でかい人、小さい人が納得のいくものを作ろうとすれば、オーダーするし
　　かなかったのだ。ところがここ１、２年で都心に激増した２プライススーツシ
　　ョップ、ここでは身長別(大抵は５センチ刻み)にフロアが分けられ、更にそこ
　　から体形別に選ぶことができる。サイズの合わないスーツを無理やりお直しし
　　て、妙なポケットの位置や妙なパンツの太さに我慢せずとも、ちょっとカスタ
　　マイズすれば、ジャストサイズのスーツが買えるのだ。更に、こういったとこ
　　ろは安い割に縫製技術もそう悪くない。流行ものに手を出すのもよし、浮いた
　　分をカフリンクスやタイに回すも良し。もちろんトレキャDXを読んでもいい。
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　　普通のビジネスマンだったら、平日はスーツを着ている時間が一日のほとんど
　　を占めるはず。となれば、カッコよくならなきゃ損というもの。何しろ、スー
　　ツの「カッコいい」はジャストサイズ、すなわち着心地がいいということなの
　　だから。また、納得のいくものを身に着けているという自信が、公私共に意外
　　な好影響を与えるかもしれない。
　　さてさて、まずは身近なボタン１個、シャツ１枚から。つけ方なんて知らなく
　　てもいい。「なあにこのつけ方。あたしが付け直してあげる♪」なんて言われ
　　たら、それはそれで収穫ではないか。1000円ちょっと、投資してみる？
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　　　　　　　　　　　　　＜編集長からもヒトコト＞

　　　　日本アパレル産業協会は、9/20から２週間、課長から取締役にまで出
　　　　世した“島耕作”を起用した紳士服キャンペーン「ドレスアップマン
　　　　ディ」を展開するそうです。重点商品は細身デザインのダブルスーツ
　　　　で、島耕作をポスターや商品タグ等に登場させたりして販促を図る狙
　　　　いです。が、現代を代表するイカすサラリーマン像が「島耕作」って
　　　　どうなんですか？なんか古クサくない？(笑)。私の中ではどうしても
　　　　「島耕作＝宅間伸」＋「宅間伸＝終わった人」というイメージがある
　　　　からかもしれません(笑)。その島耕作に「凛とせよ、月曜日の男たち
　　　　(キャンペーンコピー)」って、(スーツファッションにまで)活を入れ
　　　　られちゃうことに対して、サラリーマンの皆様はどうなんでしょうか。
　　　　とりあえず島取締役に言われるのなら納得（笑）、なんでしょうか？