１）『温故知新ビジネス』
　時代は巡るというが、昔人気だったものが最近またスポットライトを浴びるこ
　とが多くなってきた。不景気の時代、企業側も新製品の企画、開発にお金をか
　けるより、かつての人気商品に少しだけ手を加えたりアイデアを足してリセー
　ルするほうがうんと効率的かも。商品の人気のヒミツは、消費者が世代を超え
　て共感できたり一緒に楽しめるという点。ではどれだけ「温故知新」ビジネス
　が増えているか、業界ごとに紹介しよう。

　★音楽業界「アナログ感覚を呼び覚ます」
　1969年発売の森山良子の名曲「さとうきび畑」が昨年12月に再リリース。平和
　へのメッセージソングとして沖縄のヒットチャートで１位に。アナログレコー
　ド人気もじわじわ。レコード盤風のデザインCD-Rメディア「Phono-R(フォノアー
　ル)」シリーズまで登場。

　★観光業界「古いものを見直してもうひと勝負！」
　東京タワーが1958年の開業以来、44年ぶりにリニューアル。同様に大阪の通天
　閣、札幌のさっぽろテレビ塔など、改修工事でカップル向けの椅子や照明など
　を設置して若者層の獲得を狙う。富士急ハイランドには「リカちゃんタウン」
　が７月開園予定。こちらは母娘がターゲット。観光地に向けては、エンジン内
　蔵の「ハイブリッド人力車」をナスコンが189万円で発売予定で、話題を呼び
　そう。さらにトルコのイスタンブールでは、遺跡を展示した美術館ホテル「エ
　ルェンクラウン」が昨年５月オープン。

　★玩具業界「大人も子供に帰りたいんだ」
　母娘で楽しめる初版の「リカちゃんハウス」（タカラ・2980円）が35年ぶりに、
　リカちゃんの２代目（同・3500円）が25年ぶりに再発売。バトントワリングも
　ブームで、カラフルに生まれ変わった「トワールバトン」（タカラ・1480円〜）
　をキッズたちが練習用のビデオで猛練習。父と息子向けには、３月26日発売の
　金属製フィギュア「メタルガンダム」（バンダイ・３万8000円）や、ベーゴマ
　の現代版「ベイブレード」、ビー玉おもちゃ「ビーダマン」などが人気殺到で
　品切れ続出。これまた懐かしい！のはスパイグッズ。30代以上男性にブームで、
　ペン型発信機（スパイプラザ・５万2000円）や「リストカメラ」（カシオ・実
　勢価格約３万円）など種類豊富。

　★食品業界「オジサンも食べたかったんです」
　かつて小学校の給食で「くじらのノルウェー風」を食べて育った人には懐かし
　い、くじらの肉が輸入再開。牛肉に代わる肉となるか？また、これは富山の薬
　売り方式をまねたものだが、江崎グリコが始めた置き菓子「オフィスグリコ」
　は、意外にもビジネス街の男性社員が大喜び。

 
 
 

　２）『加速する極小化ポータブルライフ』
　多忙な現代人には、手軽に持ち運べてどこでも使用できる「コンパクトさ」が
　商品選択の重要な基準。電化製品はその最たるものの一つ。世界最薄(厚さ20
　mm)、最小、最軽量(135g)のデジカメ「DiMAGE X」(ミノルタ)、名刺大(8.5×
　5.4cm、厚さ６mm、重さ35g)のデジカメ「アイプレート」(富士フィルムアクシ
　ア)や、持ち運びできるプリンター「SONYDDP-MP1」(ソニー)、音楽や映像を記
　録、再生できる手のひらサイズのポータブルAVプレーヤー「MT-AV1」(シャープ)
　など続々登場。変わったところでは、携帯型空気清浄機「エアサプライ」(ワイ
　ンプロダクツ)。首にさげ、顔前面の空気中を浮遊する有害物質の95％を除去。
　花粉に悩まされている人の必需品になるかも。他にも携帯電話の子機「cocky」
　やどこにでも携帯電話をとりつけられる「ハンドクリップストラップ」(RWC)、
　手の平サイズの文具セット「チームデミ」(プラス)も人気。「コンパクト＋機
　能性」が揃った商品は、今後も求められるだろう。

 
 


　３）『Ｗターゲット（親子・母娘・男女）』
　ワイルドでかっこいい若手俳優が続々登場する中で、イチオシなのがオダギリ
　ジョー。彼のデビュー作は「仮面ライダー」で、人気の火付け役は子供でなく
　母親だった。以後、仮面ライダーになる俳優は、子供ターゲットではなく、母
　親を意識したイケメンが主役となっている。AV界も近頃のパッケージを見ると、
　南佳也などハンサムな男優の顔をアピールすることで女性の購入者を増やして
　いる。このように、従来のターゲットだけでなく、親子、男女、母娘など、Ｗ
　ターゲットを意識したものがいま熱い。人気復活した毛糸のパンツにも男性向
　け「K-PAN」が発売されたり、ベルトも女性も男性も使えるようなマニッシュ物
　が増えている。さらにもとは子供向け商品だったものを大人も意識し商品化し
　たガンダムフィギュア「マスコットロボ ハロ」(3800円)や、大人がオマケには
　まってしまう「チョコエッグ」などの食玩ものなど、親子どんぶり市場は賑や
　かだ。また専門店やセレクトショップでは２世代に渡る顧客獲得作戦を展開。
　親のトレンドを子供にも！というわけだ。単独ターゲットでは売れない時代か？